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血液型は変わる?

皆様いかがお過ごしでしょうか?中には、海外にでも行って優雅に過ごされている方もいらっしゃるかもしれませんね。私は、テニスをしたり、映画を観たり、音楽を聴いたりしてで、遠出の予定はありません・・・残念!
今月のテーマは「血液型」についてですが、性格判断ではありません。私は、ちなみにA型ですが、周りからは「やっぱり」といわれます。どういう意味なのでしょうか?皆さんは血液型はいつごろ調べましたか?それは、間違いないですか?それが、今月のテーマです。

題して、「小さい頃の血液型検査はあてにならない?」です。

「血液型を知りたい」といって来院されるかたがよくみられます。血液型は遺伝的に決まることは知られていますが、それがいつごろにはっきり決定されるかということは意外と知られていません。いくつか調べてもそのはっきりとした回答は見当たりませんでした。
そもそも血液型は、赤血球の表面にある抗原によってA, B, AB, O の四つの型に分かれます。A型はA抗原を、B型はB抗原を、AB型はその両方をそしてO型はそのどちらも持ちませんがそのかわりにH抗原というのを持っています。一方、血液成分の中の血清のほうに注目するとA型は抗B抗体、B型は抗A抗体、O型は抗A抗体と抗B抗体の両方が存在します。そしてAB型の血清には抗A,抗B抗体ともに存在しません(存在したら血液が壊れてしまいます)。
このように血液型は赤血球の抗原と血清中の抗体によって決定されています。しかも、この抗原や抗体の存在がはっきりしてくる時期があるようです。
抗原の出現時期はいつくらいかといいますと、早くて胎児のころから出現してきますが、その量は少なく生後から増加し始め3歳ころに成人とかわらなくなるようです。一方、血清の抗体の方は胎児の頃はなく、3ヶ月から6ヶ月頃になってようやく出現し、年齢とともに増加して30歳頃にピークを迎えるようです。
血液型の検査にはオモテ試験(赤血球の抗原を検査する)とウラ試験(血清の抗体を検査する)があり、輸血などをする時はこの両方を確認してしか輸血できません。しかもウラ試験は試薬が長持ちしないので一般的な血液型検査には向きません。一般的な外来での血液型検査というのは、オモテ試験である抗原の検査が中心です。これは、血液を採血して、それぞれB抗体、A抗体をもった試薬を混ぜ合わせます。A型の場合はB抗体をそもそも持っていますので、B抗体の試薬と混ぜると血液がかたまります。どちらもかたまらなければ、O型と判断します。
ここで、問題なのは、新生児期に行われる血液型検査です。前述したようにこの時期には血清の抗体は出現しませんのでウラ検査ではあてになりません。オモテ検査でも抗原の量が少ないためO型でないのにO型となったり、抗原量の少ないA型やB型でも間違ってO型と判断されたりする可能性があります。
では、いつごろが絶対間違いのない血液型なのでしょうか?3歳くらいになればオモテ試験(抗原の検査)でおおむねその血液型といえるのではないでしょうか。このオモテ試験は、外来で血液を採って数分で分かります。しかし、輸血などが必要な場合は必ずウラ試験(血清の抗体検査)が必要になります。
小さい頃特に新生児期にO型と判定された方は、大きくなって違っていたことが分かるかもしれません。早い時期の血液型検査はあてになりませんというお話です。
きのした

平成17年5月1日
院長コラム
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