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長く続く咳

最近、大人の中で百日咳が流行しているようで、乳幼児(三種混合をしていない)にとってはとても心配な状況にあります。百日咳は大人も子どもも熱は出ませんが、咳がひどく、大人と違って乳幼児では呼吸困難、無呼吸、脳症などをひき起こすことがある重篤な病気です。そこで、長く続く咳(2週間以上)の場合、百日咳を含めどのような病気が考えられるかを紹介したいと思います。

百日咳

予防接種をしていない乳幼児では、咳、鼻水などのかぜ様症状から発症します。熱は出ても軽微です。1週間を過ぎた頃から咳がひどくなり、一度咳き込むと息継ぎができないくらい続きます。そして、息を吸い込むときの音が「ヒュー」と聞こえることがあります。これを繰り返すことを「レプリーゼ」と言います。百日咳を治療する場合、最初のかぜ様症状の間(初めの1週間以内)にマクロライド系の抗生剤(エリスロマイシン、クラリス、ジスロマックなど)を内服すれば、なんとかひどい咳をくい止めることができますが、典型的な咳がでる1-2週間頃から抗生剤を飲んでも、除菌はされますが、症状はさらに2-3週間ほどひどい咳が続きます。大人では子どものようなレプリーゼはなく咳だけが続くため、熱も出ませんので、病院へもかからず市販の咳止めでようすを見られるケースが多く、その間に乳幼児に感染させることがあります。過去、アメリカでは百日咳の拡大を防止するために5-6歳頃に三種混合をもう一度追加していましたが、今では11-12歳(日本では百日咳抜きの2種混合をうっています)でも三種混合をさらに追加しています。日本も現在検討中です。

喘息、咳喘息

夜間の咳が続きます。痰がからんで出にくく痰を切ろうとして咳はでます。また。夜になると副交感神経が優位となり、気管支が細くなりやすく咳が出やすい状況となります。喘息は、呼吸困難(ゼイゼイ、ひゅーひゅーいって息苦しい)を繰り返すことが診断の決めてとされてきましたが、繰り返す「夜間の咳」も咳喘息という喘息の一部としてとらえるようになっています。これらは、気管支拡張剤(内服、吸入、テープなど)、ステロイド剤吸入(フルタイドなど)、抗ロイコトリエン拮抗剤(オノン、シングレアなど)などによるコントロールが必要です。

副鼻腔炎による咳

鼻かぜに伴って、横になると鼻水が気道の方に流れ込んでむせて咳が出ます。寝がけの咳が特徴です。アレルギー性鼻炎を合併してたり黄色い鼻水が出ている子どもにみられます。咳止めでは止まらず。抗ヒスタミン剤(鼻水止め)が効果的です。喘息の治療も効果がありません。耳鼻科での鼻洗浄、長期の抗生剤投与も基本的な治療ではありません。夜中じゅう咳する場合には、気管支炎や咳喘息合併の可能性があるため喘息、咳喘息の治療も必要な場合があります。

マイコプラズマ感染症

マイコプラズマという病原体の感染によって起こる、気管支炎や肺炎も咳がひどいのが特徴です。人によっては熱も軽微なことがあるので「気管支炎」という診断で終わっていることもあります。特徴的には、鼻水は少なく、咳がひどく、日中、夜間問わず咳が出ます。肺炎があっても聴診器では聞き取れないことがあります。マイコプラズマはマクロライド系の抗生物質が効果的ですので、肺炎になっても入院せずに外来治療で治ることが多いです。

以上のように、「長く続く咳」を特徴とする病気も多岐にわたります。熱がないから咳止めだけ、、ではうまくいかないことがありますよ。

平成21年4月14日 きのした小児科 院長
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