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発熱時冷却シートに、もの申す

皆様いかがお過ごしでしょうか?ニュースレターを出すのが遅れました。夏休みにしようかと思いましたが、なかには楽しみに待っていらっしゃる方もおられるかもしれませんので出す事にしました。いろいろ題材を考えているうちに、熱が出て湿布のようなものを体中に貼っておられる(保育園でも盛んですね)お子さん達をみていると、つい、これでいいのか?と思い冷却シートについて書く事にしました。
発熱時冷却シートといってもピンとこないでしょうが、いわゆる、「熱さまシート」「冷えピタ」のことです。これらの宣伝を見ているといかにも、熱が下がって次の日にはケロッとしてしまうような、とても便利で効果的な印象を持たせますよね。しかし、これらの効果は「解熱」ではなく単なる部分的な「冷却」だけなのです。ジェルに含まれる水分が気化することによってすーっとするだけなのです。部分的に冷却するだけで熱を下げる事はありません。これに関する論文も出ていて、冷却シート自体によって解熱効果はなかった事が証明されています。
まず、熱に対して、熱を下げる必要があるのかという事からはじめましょう。答えは、本人が熱のためにきつがったり、寝れない様子があれば、下げてもかまいません、ということになります。元気であればその必要はありません。要するに熱を下げる行為は、病気を治したり、脳炎や脳症を予防したりする効果は全くないという事なのです。ただただ、本人の気分を一時的に良くする事、それとご両親の心配を和らげることの2つに熱を下げる意味があるといっても過言ではありません。
前述したように「熱さまシート」や「冷えピタ」は解熱剤(熱冷まし)ではありませんので熱は下がりません。しかし、使用する事により、気分が良くなったり気持ちよかったりという心理的効果はあるかもしれません。ですから、解熱剤(熱冷まし)を使うまえに、そういった(気持ちよくする)意味で使う事は、まんざら無駄ではないかも知れません。あくまで、熱を下げる力は持っていませんので、その辺を取り違えないようにしてください。
遠い昔、私が、小さい頃、熱が出たときに母親が水枕をしてくれたり、冷えたタオルを絞っては頭にのせてくれたりしてくれました。とても気持ちがよかったです。その愛情のこもった行為こそが、子どもにとってとても心地よく、心強いものであり、くすりがなくてもすぐ良くなって行くような気分になるものです。「熱さまシート」や「冷えピタ」は便利ですが、愛情を感じません。心理的効果からいっても、昔からの冷やし方の方がずっとましだとおもいます。お金もかかりません。また、冷却シートで窒息事故も起こっていますので注意が必要です。小児科医としては、製薬会社の大ヒット商品に「もの申す」です。

平成18年8月11日 きのした小児科 木下昇平
院長コラム
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