抗インフルエンザ薬 新薬ゾフルーザによる「耐性」とはどういう意味か?
新薬ゾフルーザによる「耐性」とはどういう意味か?
国立感染症研究所がゾフルーザ使用による「耐性」が見つかったと報告されました。最初は2個が、さらに3個、、、
これを聞くと、「えー、ゾフルーザによって効果がなくなるインフルエンザウイルスが出てきたのか?」というふうに、普通に思います。しかし、この「耐性」とは、本来の「アミノ酸の配列が変異株がみつかった」と言う現象を表す言葉で、実際に「変異が起こったインフルエンザウイルスに対して薬が効かない」ということを意味している訳ではありません。国立感染症研究所が言う「耐性」という言葉は誤解を招くものです。
実際、今回の報告では、インフルエンザにかかった方が、ゾフルーザをのみ2日以内に解熱し(効果あり)、3日目にインフルエンザの株を詳しく調べたところ、アミノ酸の変異が見られたインフルエンザ株が見つかったということです。実際はゾフルーザをのむことにより発生した変異株なのか、最初から自然界で見られる変異株だったのかも不明なのです。
今までも、こういった変異株はノイラミダーゼ阻害剤(タミフル、ザイザル、イナビルなど)でもいくつも見つかっています。最初から存在したのか、使ったから存在したのかは不明なのです。また、その変異株が流行し薬が効かなくなったという話は現実的ではありません。したがって、ゾフルーザが今までのインフルエンザの薬と比べて、特に問題があるという訳ではないようです。
私は、今のところ、お子さんには、のみやすい方を選んで頂いています。ゾフルーザは粒しかありません。また10Kg以上のお子さんから適応となります。小さな粒ですが、粉にすると苦くなりますが、1回で終わりです。タミフルは1日2回を5日間です。5歳以上の方はのむのがいやだったらイナビルなどの吸入も提案します。ただ、ゾフルーザは、今までのノイラミダーゼ阻害剤と決定的に違うのは、作用機序です。今までノイラミダーゼ阻害剤では効果がなかったB型にも、効果があるようです。
A型に関しては今までの薬でも良いかと思いますが、B型となると、ゾフルーザをおすすめします。
「耐性」が本当の意味での「抗インフルエンザ薬が効かない耐性株」になるのかは、今のところ分かっていません。しかし、その他の抗インフルエンザ薬の歴史から考えても、今の時点でゾフルーザは「耐性」を作るから飲まないほうが良いと、思わせぶりの報道もどうかと思います。
平成31年2月8日