子どもの微熱とは 院長コラム
微熱とは
新型コロナウイルスの流行により、「微熱」が問われています。37.5℃以上が微熱なのでしょうか?北九州で見られた感染児童の37.0℃を見逃したというのなら、一体何度を「微熱」と考えるのか。とても不安になってしまいますよね。そこで「微熱」の定義はどのような状態をいうのか、というお話です。
1)微熱とは何度から微熱?
個々の通常の体温(人によって違います)より0.5~0.7℃高い状態が持続することをいいます。1日のうちに何回測っても、その状態が続くときは微熱と考えます。
2)測り方によって体温が違う?ピピッはあてにならない!
現在、電子体温計(数秒で測定できる):予測式体温計が多く使われています。数秒測って10分後の体温を予測するわけです。いわゆる予測式体温計と言います。実はこれは、微熱を測定するのには適していません。何回測っても全く同じ体温ではないことが良くあります。
数秒測って10分後の体温を予測しているわけですから、誤差が生じます。数秒で測る(予測式)と37.8℃あったのが、5分間そのまま電子体温計をはさんだまま測る(実測値になる)と37.3℃だったとか平熱だったとか良くある話です。
水銀計はそもそもが実測式体温計ですので、水銀計で5分測る必要があります。この方法が一番誤差がないのですが、保育園、幼稚園、学校などでは、お子さんがたくさんいるので早く測ることのできる電子体温計(予測式)を使用しています。まずは、電子体温計でピピっとなった時(予測値)の体温が熱っぽいと感じたら、もう一度5分間計り続けます(実測値となる)。ピピっとなっても計り続けるとそれが水銀計で5分測った時の実測値とほぼ同じになります。耳式体温計、非接触式体温計は全く当てになりません。どちらも正確な熱を測るのには適しません。
3)いつもの体温を知っておくことが必要です
体温は朝、低く夕方から夜にかけて1℃以内の日内変動をします。高温多湿の環境、食後、運動後、眠たくなってきた時、お風呂上りなどは熱がこもっていることがありますので、測るのには適しません。健康な時に、前記以外の時間で朝、昼、夜の体温を水銀計もしくは電子体温計で5分間測り、お子さんの体温を知る必要があります。
4)微熱とは
そのお子さんの、いつもの体温(実測値)より0.5〜0.7℃高い時(実測値)は微熱となります。お子さんの1日の最低と最高の実測値が36.5℃〜37.2℃であれば37.7℃以上(実測値)が1日を通して続けば微熱です。
1℃以上高い時は明らかな発熱となります。
まとめ
人により普通の体温は違います。一律ではありません。また、体温は日内変動があり、朝低く夕方から夜にかけては少し高くなり、1℃以内の変動があります。
普段の体温をまず知ること、電子体温計のピピっという音での測定は不正確であること、予測式ではなく、実測式で測ることが大切です。
保育園や幼稚園で37.8℃で呼び出されたけど、家で計ったら37.3℃だったとか平熱だったとか良くある話です。
保育園や幼稚園、学校の先生方にも、上記のことは知っていただき、新型コロナが流行で神経質になるのはわかりますが、微熱を何度以上と決めつけてしまわないように、また、測定の仕方も見直していただきたいと思う次第です。
令和2年6月8日 院長