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子どもの諸症状の考え方と対処について

今回は、日常で頻度の高い、子どもの諸症状について、その考え方と家での対応について話したいと思います。

発熱

子どもの発熱は、子どもの病気を発見する上で一番わかりやすい症状です。しかし熱が出ると、病気に負けている危険信号だと考えられているお母さん方が多いようですが、決してそうではありません。人間は一生のうち200回ほど風邪をひくといわれています。熱のほとんどがそれらに入る訳ですが、もちろん違うものもあります。まず、熱は病気を治すために出ているものと考えてください。熱のために少し元気がなくなるのは普通です。熱が高くても機嫌が良ければそのまま様子を見ても良いでしょう。解熱剤はa)本人の機嫌を一時的に良くする。b)家族の不安をとる。この2つの理由しかありません。解熱剤を使って1時間以上経ってもぐったりしていたり、意識がおかしかったり、水分もほとんどとらない、顔色も悪いようなときは、危険信号かもしれません。熱ばかりにとらわれずに、子どもの様子をしっかり観察してください。熱の高さと病気の善し悪しは比例しません。急な発熱→危険信号→すぐ病院、ということでは決してありませんが、その他の危険信号を見逃さないようにしてください。

鼻出血

子どもはよく鼻血をだします。これは、鼻の粘膜が弱いのが一番の理由でしょうか。鼻を触ったり、鼻炎があったりするとよく鼻血がでます。夜間に布団が血染めになってびっくりされて来院されるかたをよく見ます。また、何日も繰り返して心配される方もみえます。鼻血は、何度出ようが、毎日出ようが、すぐ止まれば(10分以内)心配いりません。鼻の粘膜の傷が大きいほど繰り返しやすいです。大半は自然に治りますが、量が多く何度も繰り返す場合は、耳鼻科で鼻の粘膜の処置をしてもらった方が早く良くなることもあります。一度出ると20分以上続いたり、体の他の場所にも出血斑などが多く見られ、顔色も悪い場合は、血液の病気の可能性があるので検査が必要です。

嘔吐

赤ちゃんが吐く場合は、よく飲んで、元気もあって、体重の伸びが良ければ心配いりません。幼児の場合は、ウイルス性の胃腸炎などが多く、その他、急な病気としては腸重積症、ケトン血性嘔吐症(自家中毒症)などがみられます。吐いてケロッとしている場合は心配ありませんが、顔色も悪く、腹痛もあるようでしたら来院が必要です。

下痢

ウイルス性の下痢が多く見られます。さらさら便ではなく、粘液、血液のようなドロッとしたようなウンチが出たり、腹痛が強い場合は細菌性の腸炎が考えられます。後者は来院する必要があります。

腹痛

お腹の痛みで来院される方で一番多いのが、便秘です。便が、毎日出ていても、便が固くて不快感がある場合は便秘です。心当たりがある場合には、イチジク浣腸を使用しても良いでしょう。便秘を繰り返す人は食事療法や薬物療法が必要になります。腹痛で次ぎに多いのは嘔吐や下痢を伴う胃腸炎です。また、痛みの間隔が5-10分おきの場合は腸重積症(前述)が考えられます。痛みの場所がおへその周りだとあまり心配ありませんが、右下の場合は盲腸、右上の場合は胆のう系の問題が考えられます。園児や学童で、食欲はまあまああるのに朝になると痛くなり、休みの日はケロッとしているような場合は、園や学校に行きたくない理由があるのかもしれません。

頭痛

子どもの頭痛は我々医療機関も頭が痛いところ(診断が難しい)です。発熱したり、疲れて自律神経が乱れて起こる頭痛はよく見ます。また、鼻づまりや濁った鼻が続き、頭の前の方を痛がる場合は副鼻腔炎(蓄膿)が多いです。副鼻腔炎は抗生剤をしばらく飲む必要があります。ときどきの頭痛であれば様子を見るか、熱がなくても解熱鎮痛剤を使うとよいでしょう。毎日のように痛がる場合には診察が必要です。高血圧、脳の中の異常や副鼻腔炎がなければ、子どもの偏頭痛もあります。

頭を打った

赤ちゃんがベッドから落ちた。たんこぶができた。階段から落ちたなどといって来院される場合が多いです。我々が一番観察するのは、本人の顔色、意識状態、瞳孔や手足の動きに異常がないかです。吐いてもケロッとして元気があればまず問題がありません。ただ約1週間の観察期間が必要です。顔色が悪い場合や前述に示したような異常が出てきた場合にはCT検査やMRI検査が必要となります。

耳が痛い

中耳炎や外耳炎、おたふくかぜ、咽頭炎などが考えられます。夜間に問題が起きた場合は、まず、手持ちの解熱鎮痛剤で様子を見て次の日に当院を受診してください。特に中耳炎は耳鼻科に行くと日本では切開のケースが多いため、当医院を是非受診ください。抗生剤の内服などで治ります。先進国ではどんなにひどかろうが、切開はほとんどされていません。

便秘

2-5ヶ月の乳児では、毎日出ていた便が3-5日に一度くらいになることがあります。3-5日に一度でも柔らかい便が出れば便秘ではありません。この時期は生理的と考えます。ただし5日以上でない場合は浣腸してあげた方が良いでしょう。綿棒をつかって刺激してあげてもよいでしょう。幼児以上で、毎日出ていても、最初の方が固くて不快感がある場合は便秘と考えます。心因性であったり食事の改善が必要です。できればご来院ください。

平成20年10月21日  きのした小児科 院長
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