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嘔吐下痢症に、吐き気止めや整腸剤は必要??

嘔吐下痢症に、吐き気止めや整腸剤は必要??

 現在、嘔吐下痢症を起こす病気は、涼しくなると特に増えてくる(1年中見られますが)、ヒトカルシウイルス群に属するノロウイルスやサポウイルスがほとんどになってきています。以前はロタウイルスも非常に多かったのですが、ロタウイルス予防ワクチンの接種率が増えロタウイルスは激減しています。

さて、現在の嘔吐下痢症の多くの病因であるノロウイルスですが、遺伝子学的に6群に分かれており、その中のⅠ、Ⅱ.Ⅳ群の3つが人間に感染すると言われています。さらに、ノロウイルスの遺伝子型はさらに25種以上の異なる遺伝子型に分類されています。

その中でも、ここ10年間は遺伝子群Ⅱ遺伝子型4(GⅡ.4)の流行が続いているようです。また、サポウイルスも同様に流行が見られています。臨床的にこの2つを区別することは不可能です。

ノロウイルスの感染経路は、ヒトからの感染と摂取したものからの感染が考えられます。生の牡蠣は有名ですが、感染しているヒトが触った全ての食品からの感染もあるため、集団食中毒という発症する場合もあります。

 

症状:嘔吐、下痢、頭痛、発熱、倦怠感、筋肉痛などが主ですが、下痢だけ、嘔吐だけの場合もあります。嘔吐は6−12時間ほどで自然に治り、発熱も24時間以内に治ります。下痢は0−7日(ノロの場合、下痢しないか1−2日が多い)。

 

治療:対症療法:経口補水、または点滴

さて、ここで、吐き気に対して吐き気止めを使うかどうかですが、効果は不明です。当医院では使っていませんが、自然に治ります。使ったほうが早く治るという事実はありません。

下痢に対する、整腸剤ですが、これも効果は不明です。飲まなくても自然に治ります。飲んだほうが早く治るという事実もありません。

じゃあどうすれば良いかですが、まず吐き始めたら、食べ物は与えないようにします。経口補水液と言われる、アクアソリタ、OS1もしくは病院で処方できるソリタT3顆粒(溶かして飲む)をチビチビとやります。一気にやるとまた吐くことが多いので、あくまで20mlを10分間隔くらいで少しずつあげます。吐いても続けます。この時、スポーツドリンクやジュースはあげてはいけません。糖分が多かったり、塩分が少なかったりします。

吐くのが止まり4−5時間たたら、食事を開始します。うどん、おにぎり、おかゆ(塩はいれます)などからスタートです。炭水化物+塩分だけで結構です。脂肪分が多いものは避けます。和食、和菓子と考えれば良いでしょう。

少ないですが、吐き気が続いたり活気がなければ点滴が必要になります。

また、発熱や頭痛がある場合には解熱剤を使用しても構いません。

 

嘔吐下痢症といえば、誰しも(医者、患者さん)が、吐き気止め、整腸剤を使ったほうが良いと思い込んでいます。

これは、対症療法といえども、不要な薬だと思われます。

アメリカでは、嘔吐下痢症の治療は、経口補水法や点滴による脱水の治療と電解質(塩分など)の補正維持としか書かれておらず。吐き気止めや整腸剤、下痢止めなどの記載は一切ありません。

 吐く時は、吐き気止め、下痢の時は下痢止めや整腸剤の日本の治療は薬漬け医療:慣習、思い込みの一つかと思います。

平成30年10月2日

院長コラム
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