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不思議の国のアリス症候群

これは、病名で、皆様もご存知の童話「不思議の国のアリス」にちなんで命名された症候群です。自分の体の一部が通常より大きく感じたり、見ているものを大きく感じたり、時間が実際よりも早く進んでゆくという奇妙な体験をする症候群です。この病気の存在を知らなければ、精神疾患と間違えられ、本質の病原にたどり着けなくなります。
結論から申しますと、このような症状は、片頭痛を持っている方に生じることがあります。そして、薬によりコントロールすることができます。
この、不思議の国のアリス症候群を提唱したのは、Toddという人です。Toddはこの病気が片頭痛やてんかんなどと密接に関係していることを発見しました。その症状は、四つの主要症状が見られます。1)身体像の奇妙な変化:自分の体の一部が大きくあるいは小さく感じたり、頭が大きく感じたり手足が長く感じたりします。2)視界に生じる物体の大きさ、距離、位置に関して錯覚しmす。例えば、まっすぐな道がカーブやジグザグに見えたりします。3)空中浮遊の錯覚的感覚:ふわふわ浮いている感じがします。4)時間的感覚の錯覚的変化:映画フィルムを早送りしているような感じを覚えたり、逆に時間が進むのを遅く感じたりします。
Toddは、これらの訴えを、神経質とか精神疾患であるとかで片付けないように注意を呼びかけました。
不思議の国のアリス症候群の基礎疾患としては、片頭痛が一番多いと考えられています。片頭痛の中でも「脳幹性前兆を伴う片頭痛」が多く、片頭痛の前兆として構音障害(ろれつがまわらない)、回転性めまい、耳鳴り、難聴、複視(ものが二重に見えるなど)、運動失調、意識レベルが低下するなどの中で2つ以上の症状が片頭痛の前兆として認められ5-60分間ほど続きます。 このような前兆があり片頭痛を起こし、不思議の国のアリス症候群様症状が見られる場合には、片頭痛の治療薬である「塩酸ロメジリン」による予防投与を行います。この病気をお持ちの方は大変な不安や恐怖感を持たれていますので、精神疾患などではないことを十分説明することが必要です。

平成28年9月10日 院長
院長コラム
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