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ノロウイルスの猛威

皆様、いかがお過ごしでしょうか?小郡近辺では、嘔吐下痢症(ノロウイルスがほとんどと思われます)、細気管支炎(RSウイルス感染症)などが流行しており日々点滴、入院の心配、またインフルエンザワクチンの接種に追われております。これにインフルエンザの流行が加わったら、もう身動きが取れなくなりそうです。神様!なんとか、インフルエンザは冬休みまで、流行らせないで下さい!!!
今月の話題は今大流行の「ノロウイルス」を取り上げました。題して「ノロウイルスの猛威」です。
1968年にアメリカオハイオ州のノーウォークの小学校で発生した急性胃腸炎(嘔吐下痢症)の便から発見されたウイルスは、地名にちなんでノーウォークウイルスと呼ばれていましたが、その後電子顕微鏡での形態的特徴から小円形ウイルスと呼ばれるようになりました。その後、いろいろな小円形ウイルスが胃腸炎の原因になる事が判明し、小円形ウイルスのなかで代表格であるノーウォークウイルスを「ノロウイルス」と呼ぶようになりました。現在では抗原性の違った30種類以上のノロウイルスが見つかっており、何度もかかることが考えられます。
このノロウイルスは、食中毒を起こすサルモネラ菌やカンピロバクターなどの細菌に引き続き多くみられる食中毒を起こすウイルスとして知られています。ノロウイルスに感染している人の料理や、汚染された二枚貝を食べる事によって集団で食中毒を起こす事が知られています。
さてさて、今、流行している(12-3月がピーク)ノロウイルス(福岡県では75%以上を占めているようです)はどのようにしてうつってゆくのか、症状、その対策、なった時の処置などなどのお話をすすめて行きたいと思います。

感染経路

1)汚染された食物(カキなどの二枚貝が有名)の摂取
なぜ、カキは河口付近で養殖されていますが、汚染処理場をかいくぐった一部の便中のノロウイルスが河口に到達し二枚貝の中腸腺というところで生き続けます。ですから、河口付近でとれた二枚貝を生で食べることにより感染します。

2)食品を取り扱う人、料理人がノロウイルスに感染していると食べたものを通して感染します。

3)症状のある人と接触する(人―人感染)により感染します
感染者は、具合が悪いと感じた時からうつしはじめ、症状が回復したあとも1週間ほど便の中にウイルスが排泄されるため感染源になるようです。その人から人へのうつり方ですが、ウイルスは便や吐物の中にたくさんいるので、トイレのあとの処理やおむつの処理のときに本人や親の手を介して感染します。また、吐物が床や衣服についた場合は、人の手を介するのはもちろん、空気中にウイルスが舞い感染してしまう事も知られています。

症状

潜伏期間は半日から2日ととても早く症状があらわれます。通常は、嘔吐、下痢、腹痛や発熱(軽度が多い)が見られますが、頭痛、筋肉痛,倦怠感なども見られる事があります。軽い吐き気や食欲不振,下痢だけで終わる場合もありますが、脱水症を起こし、点滴が必要になる場合もあります。

治療

あくまで対症療法になります。吐き気が強ければ、吐き気止めを使ったり、下痢があれば整腸剤(下痢どめは回復を遅らせたり、お腹が張って腹痛が激しくなったりすることがあるので使われません)を使ったり、熱が高くなれば解熱剤を使ったり、症状によっては点滴をしたりして、ウイルスの勢いが衰えるまで1-4日対症療法を行います。現在、予防接種や抗ウイルス剤はありません。

家庭での対応

吐き気や嘔吐が始まったら、好きなだけ飲み物をやったり固形の食べ物をやるのを一時中止します。何か欲しがる時は、まず、ポカリスエットやOS1などのイオン飲料(透明なもの)を30ccを15分ごとにちびちびと与えます。4-5時間ほどそれを続けて、吐かなくなったら、水分の量を増やしたり、おかゆ、うどん、スープなどを与えて行きます。乳製品や油物は与えずに、和食を中心に考えて下さい。乳児はミルクをしばらく中止し、吐き気が止まるまでは同じように透明な液体ポカリスエットやOS1などを同じくちびちび与えます。吐き気がおさまったら好きなだけ与えます。下痢がひどくなればできれば、下痢用のミルク(大豆乳など)に変えてください。母乳のお子さんも、吐き気が止まるまでは、同じく透明な液体をちびちび与えて下さい。吐き気が止まれば、母乳を好きなだけ与えて下さい。幼児も乳児もまた途中で吐いたら、最初からちびちび飲みを再開して下さい。

予防

感染力が非常に強いためとくに保育園や施設などで大流行しますので、以下の事に注意が必要です。

1)トイレのあとやおむつの取り替えのあとは、流水でしっかり手洗いをする。とくに食事の用意をする前や食事前は十分手洗いをする。河口付近でとれた生のカキなどは必ず火を通す。

2)吐物や便などの処理の時は、使い捨てのマスク(空気中にウイルスが舞う)や手袋を使用する。汚染した床を掃除する場合は「次亜塩素酸ソーダ」(ハイターなど)の消毒液で拭き取るか85度以上の熱湯をかけて拭き取りビニール袋に入れて密封する。

3)感染者は症状が回復しても3日間は料理をしない。

以上、ノロウイルスの知識とその対策について述べました。この冬、ノロウイルスは大流行しています。嘔吐や下痢症、嘔吐下痢症の全てがこのノロウイルスとは限りませんが、75%以上はノロウイルスのようです。前述したようにノロウイルスは30種類以上も見つかっており、何度もかかる可能性がありますので油断せずにしっかり手洗いをするように心がけましょう。他のウイルス(サポウイルスなど)も同様に感染しますので、保育園、幼稚園、施設、学校などの集団生活は、症状がなくなって食欲もでるまでお休みして下さい。

平成19年12月8日 きのした小児科 院長
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