6ヶ月ー5歳未満のコロナワクチン(日本小児科学会推奨).および接種スケジュールについて
ワクチンについて
2022年10月現在、国内で生後6か月以上5歳未満の小児に接種が承認されているワクチンは、ファイザー社製のみです。ファイザー社製の生後6か月以上5歳未満用のワクチンは12歳以上を対象としたワクチンと比べ含有されるmRNA量が1/10であり、5~11歳未満用のワクチンと比べ含有されるmRNA量が3/10の製剤です。いずれも3回接種が必要です。
ワクチンの効果
ワクチンのオミクロン株BA.2流行期における発症予防効果については生後6か月~23か月児で75.8%(95%CI 9.7~94.7%)、2~4歳児71.8%(95%CI 28.6~89.4%)と報告されています。また重症化予防はこれ以上と思われます。
ワクチンの副反応
米国では、2022年8月21日までに生後6か月以上5歳未満の小児に対してファイザー社製ワクチン890,378接種が行われ、8,541人が自発的な健康状況調査(v-safe)に登録されました18)。生後6か月以上2歳で接種後の局所反応は19.0%(1回目)、18.3%(2回目)、全身反応(発熱、下痢、発疹、嘔吐、不機嫌・啼泣、食欲不振、傾眠傾向)が55.8%(1回目)、47.1%(2回目)に認められ、発熱は18.7%(1回目)、13.8%(2回目)に認められました。3歳から5歳未満の小児では接種後の局所反応は28.4%(1回目)、26.5%(2回目)、全身反応(腹痛、筋肉痛、悪寒、倦怠感、発熱、頭痛、関節痛、嘔気、下痢、発疹、嘔吐)が32.2%(1回目)、29.2%(2回目)に認められ、発熱は12.1%(1回目)、10.9%(2回目)に認められました。
以上、発症予防および重症化予防と副反応を比較した場合、メリットが大きいと考えられる点から日本小児科学会は「推奨」としています。
6 か月~4 歳の小児に対する新型コロナワクチンを含めた予防接種スケジュールについて
2022 年 11 月 21 日
日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会
1.はじめに
6 か月~4 歳の小児に対する新型コロナワクチンは、2022 年 10 月 24 日から予防接種法上の特例臨時接種として接種が開始されました。これを受けて、同時期に接種することが多い定期の予 防接種(以下、定期接種)等を含めた接種スケジュールについて具体的な例を示します。
2.6 か月~4 歳の小児に対する新型コロナワクチンの接種スケジュール
5 歳以上の小児では、初回接種(初回免疫)の回数は 2 回ですが、6 か月~4 歳の小児では、
初回接種(初回免疫)として 3 回の接種が必要となります。なお、皮下接種するその他の定期接 種ワクチンと異なり、新型コロナワクチンは筋肉内への接種(筋注)になります。
1 回目接種後通常 3 週間あけて 2 回目を接種し、2 回目接種後 8 週間あけて 3 回目を接種しま す。通常の接種間隔を超えた場合には、なるべく速やかに接種することになっており、接種間隔 の上限はありません。
他のワクチンとの接種間隔は、季節性インフルエンザワクチンのみ接種間隔に規定がなく、同 時接種を含めていつでも接種可能ですが、その他のワクチンとは、原則として前後 13 日以上の間 隔をあけて接種することになっています。
日本小児科学会は、定期接種のワクチンを優先し、それらの接種機会を確保したうえで、新型
コロナワクチンの接種をしていただきたいと考えています。
注射の生ワクチン(以下、注射生ワクチン)である、BCG ワクチン、麻しん風しん混合ワクチ ン(以下、MR ワクチン)、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンを接種した場合は、27 日以上の 間隔をおいて別の種類の注射生ワクチンを接種できることになっています。新型コロナワクチン は生ワクチンではありませんが、MR ワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチン接種後ワ クチンウイルスが体内で増殖する時期や、接種後の発熱、発疹、耳下腺腫脹等の症状が好発する 時期を避けて、可能であれば接種後 4 週間程度は、新型コロナワクチンの接種を避けることが望 ましいと考えます。また、B 型肝炎、ヒブ、小児用肺炎球菌、4 種混合ワクチンは 0~1 歳で複数 回の接種が必要なワクチンですが、同じワクチンを連続して接種する場合、推奨の接種間隔があ りますので、前回接種との間隔にも注意が必要です。
以下、接種スケジュールの一例を示します。なお、体調がすぐれない場合は、体調が回復して
から接種することが大切です。
令和4年11月15日 院長